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寺泊・足立茂久商店さんへ見学に行ってきました
特集 2017.02.02
新潟県で唯一の曲げ物工房
創業1830年の足立茂久商店さんは、新潟県長岡市寺泊山田にあります。
寺泊山田地区は日本海にほど近く、昔からわっぱの生産が盛んに行われていました。
海が近かったために材料も集まりやすい地域であったこと、農業が生活に欠かせない営みであったため農作業のための「ふるい」がよく生産されていたそうです。
お料理で使われる「うらごし」や「せいろ」も昔はどこの家庭にもあり、注文があったそうです。江戸の末期にはふるい業組合が存在していたほど盛んに生産されていたそうですが、ステンレスやプラスチック製品などがとって代わって使われるようになり、時代の変化と共に需要が減っていきました。
今では足立茂久商店が新潟県で唯一の曲げ物工房として残っています。プロも愛用する道具を1人で製作・修繕
現在は11代目の足立照久さんがお父様から技術を継承し、店を継いでいます。照久さんがたった1人でわっぱを製作しているのです。
もちろん、製作も販売も…と1人だけではこなせないので、実のお母さま・道子さんも一緒に働いています。「これはね、県外の和食の職人さんから修理を頼まれたものなの」
と見せて下さったのは、網の部分が破れた裏ごし。
足立茂久商店では馬毛を使用していますが、近年では金網が多く使われています。
お母さまが聞いた職人さんのお話によると、馬毛で裏ごししたものと、金網で裏ごししたものとでは舌触りが全く異なるそう。馬毛で作られた裏ごしは全国的にも珍しく、新潟県問わず全国から修繕や注文の依頼があるそうです。
受け継がれる信念「道具は使われてこそ生きるもの」
足立茂久商店の特徴的な商品といえば「電子レンジでも使える曲げわっぱ」(せいろ)。先代の一久さんの発明です。
『道具は使われてこそ生きるもの』
という信念のもと、現代でも使われるわっぱ商品を生み出したそうです。
このわっぱはTVなどのメディアに取り上げられ一躍全国区に。放送された当日は電話が鳴りやまず大変だったそうです。一久さんと照久さんと2人で製作に励んでいたところ、一久さんが突然倒れ、2009年に他界。
お父様の信念を受け継いで、照久さんは今もお父様から受け継いだ伝統技術を守りながら商品を作り続けています。足立茂久商店さんには作業場とは別の場所に、一久さんのギャラリー室があります。
曲げるには難しいと言われていた新潟県の杉を使ったわっぱの商品の数々。わっぱの技術を応用して作られた茶葉入れや茶道の道具。教えてもらえばもらうほど感動する品ばかりでした。「親父が作った最後の1点なんです。売ってほしいと言ってくださるお客様もいらっしゃるんですが、これがなくなると親父から受け継げなくなっちゃうんで。申し訳ないけれどお断りさせてもらっているんです。」
そうおっしゃる照久さんの言葉には、お父様を尊敬し、そのお父様を必死に追っていらっしゃる一生懸命さを感じました。
自身もオリジナルで、伝統和紙の工房や家具屋さんとコラボして商品をつくられています。
照久さんと、照久さんの作る商品のこれからが、とても楽しみです。商品ページはこちらから↓↓
足立茂久商店/わっぱ 5寸(せいろ)
足立茂久商店/わっぱ 6寸(せいろ)読みもの
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