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読みもの詳細
イタリア&スペインの食文化に学ぶ(前編)
コラム 2017.07.10
食を楽しむ心、分かち合う仲間、それから……
鈴木将が体験&発見した18日間5月2日から20日まで、イタリアとスペインを旅したオーナーシェフの鈴木将。ラテンの風が駆け抜ける街で、料理を通じて食への情熱あふれる人々と出会い、飲食を共にしながら語り合い、感じたこととは?
「The SUZUTIMES」で紹介しきれなかった「食を巡る旅」について、大いに語ります!
マヨネーズ発祥の地、メノルカ島で「つくね」を作る
今回の旅のきっかけは、キューピーとぐるなびのタッグで野菜摂取を推進する「MOTTO VEGEプロジェクト」。農家を応援するシェフを応援しよう! というもので、プロジェクトには全国で約11,000店舗が登録されているのですが、僕ともう1人、さいたま市にあるトラットリア アズーリの新妻直也シェフが「野菜留学」に招待されたんです。
旅は4つのシーズンに分けられます。まずはスペイン、メノルカ島でのマヨネーズの祭典「ガストロシッタ」。バルセロナから飛行機で1時間、地中海に浮かぶ“マヨネーズ発祥の地”です。昨年に続き2回目となる祭典に日本人シェフとして招かれ、1500人分の「鶏つくねの味噌マヨネーズ添え」を作りました。焼き鳥は、焼き鳥屋の息子だった僕の原点。鳥ひき肉と玉ねぎ、しいたけの代わりにマッシュルーム、そしてチリペッパーを入れて。味噌はいつも使っている長岡市の柳醸造の玄米味噌を持って行きました。
いかに日本からの持ち物を少なく、軽くして、日本の雰囲気を出せるかと考えて。習字の練習用の半紙を持って行って、現場で筆で書いた日本語のバナー、けっこうインパクトありましたよ。それと、笹の葉を1000枚くらい持って行って。真空パックなのに重かった……(笑)。
日本だと、マヨネーズ=野菜サラダと思われがちですが、スペインでは魚料理や肉料理のソースにしたり、いろいろな使われ方をしています。
キューピーマヨネーズの欧州での展開を記録したウェブサイト「Mayo Days」に、メノルカ島のことなどが載っているので見てみてください。おもしろいですよ、このサイト。
Mayo Days
僕の「つくね」が高評価。みなさん口々に「Muy rico(とってもおいしい)!」と言ってくれました。
「ガストロシッタ」は2日間のイベントで、想像よりも年配の方々が来場していましたが、「つくね」は評判がよかった! 自分で言うのもなんですけど(笑)。12店舗がキューピーマヨネーズを使った料理を出品していて、チケットが12枚与えられたお客さんが屋台村のような会場を巡って、すべての料理をゆっくり食べる。いちばん美味しい!と思った料理に1票投じることができるという。優勝したシェフは日本に来れることになっていて、日本人の僕は除外だったのに僕にもたくさんの票が入っていたんですよ(笑)。現地メディアでも紹介され、市長にも好評でした。一緒に参加していたシェフたちに、うちの「JHONNY ディップソース/えだまめマヨ」をプレゼントしました。枝豆がとても喜ばれるんです。
ビルバオのスローフード学校で審査員になるメノルカ島の次はバスク地方、フランスにも近いスペイン北部の街ビルバオへ。もともとは工業メインの街でしたが、不景気や洪水もあって徐々に廃れ、工業は外へ、サービス産業を中に取り入れることで成功した都市です。
ここでは、スローフード哲学を伝えるアルチャンダ料理学校で料理コンテストの審査員を務めました。産地に行って売り買いしたり、地域を見つめたり、料理の技術よりも概念や哲学をきちんと教える学校です。日本にはまだないですね。先生の意識も高いし、学生のレベルも高い。
コンテストのテーマは「スローフードとマヨネーズを掛け合わせたピンチョス」。参加者は学生と卒業生でもあるプロのシェフたちで、この優勝者も日本に来れる、また審査員が日本人ということもあってか、寿司とか、和風のアレンジを施した料理が多く出品されていました。よく寿司を出したなぁと思ったけど、美味しかったんですよ、これが。
学生の料理はどれもハイレベル。恐るべし!
学生のレストランもあり、地元の野菜や魚を使ったスローフードのコース料理を提供しています。こんなコンテストが当たり前のように行われているところがすごいなと思いますね。新潟市の調理学校の先生も同行して一緒に審査員をやったのですが、びっくりされていましたよ。ビルバオは戦略的に出来上がった街なので、星付きのレストランがスローフードを使うなど、付加価値としてスローフードを活用している。地元の人向けというよりも観光目線です。イタリア発のスローフードは長岡野菜のコンセプトと似ていて、なくなってしまう前にきちんと認証しようよと。客単価3000円から4000円くらいのレストランがメインです。スペインとイタリアでは、少しスローフードの解釈が異なるようですね。
ビルバオのスローフード認定店にはこのマークが。市民にはスローフードの考えが浸透し、ゆったり、じっくり土地の恵みをいただく地産地消は当たり前。
ビルバオでは、「Azurmendi(アズールメンディ)」というレストランにも行きました。ヨーロッパで最年少の三ツ星シェフのお店です。コースは2万円くらい。23品くらい出てきて、3時間かけて食べるんです。料理が提供される演出も楽しくて、ぜひ行ってみて驚いてほしいから、あんまり写真は載せません(笑)。
後編は、美食の街サン・セバスチャン@スペイン、ミラノのコラボディナー@イタリア、そして日本へと続きます!読みもの
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